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それ行け!早乙女研究所所属ゲッターチーム(TV版)!

70年代ロボットアニメ・ゲッターロボを愛するフラウゆどうふの創作関連日記とかメモ帳みたいなもの。

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百鬼百人衆角面鬼兄弟、やきう場に推参す。横浜スタジアム編1



yo ko haaaaaaaaa ma no soooooooooora taaaakaaaakuuuuuuuuuuuuuuuuuuu


Home-run kaaaaattobaaaseeee Tsuuuuuuuuuuu Tsuuuuuuuuuuu GooooooooooooooooooooooU!!!




「というわけで!また東京に潜伏している諜報員から、ヤキュウ場のチケットが届いたぞー!!」
「よっしゃあああああ!!」
「わーーーーーい!!」

それは、とてもとても喜ばしいニュース。
長兄の部屋に、ぱあっ、と、弟たちの明るい声が響いた。
人間たちは知る由もない、この地球は狙われている。
邪悪な鬼たちが蠢く闇の帝国・百鬼帝国…
だが、その強力な尖兵たるべきエリート集団・百鬼帝国百鬼百人衆が一員、角面鬼兄弟は…人間どものスポーツ・ヤキュウにうつつを抜かしているのだった!
元々は彼らの宿敵である早乙女研究所ゲッターチームの一人・車弁慶を陥れるために研究し始めたヤキュウだが…
その魅力に取りつかれ、とうとう「偵察」とかいう言い訳を作り出し、人間のヤキュウ場にも繰り出すようになったのだ。
記念すべき初観戦として、千葉ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムに赴いたのはついこないだのこと。
その時の興奮も冷めやらぬうちに、彼らは次のヤキュウ観戦の手はずを整えていたのだった…
人間界に潜伏している諜報部の者に、試合のチケットを取らせていたのだ。
長兄の一角鬼が(人間界征服のための作戦立案もろくにせずに)根城としている自室に、おもむろに弟たちを呼び寄せて。
誇らしげに弟達に見せびらかすのは、三枚のチケット…
夢劇場への通行切符に、目をきらきらと輝かせる三馬鹿兄弟であった。
さて、今回の舞台は、というと…
「今度は何処なんだい、兄ちゃん」
「ええっと…カナガワ県ってとこにある、『ヨコハマスタジアム』ってとこらしいな」
次兄の二角鬼の問いかけに、チケットに書かれた地名で答える一角鬼。
横浜スタジアム…神奈川県は横浜の街中に位置する球場である。
「今度は行き方をちゃんと調べておかないとね」
末弟の三角鬼が漏らした言葉に、うんうん、とうなずく二人。
以前ZOZOマリンスタジアムを訪れた際は、便利な直通バスの存在を知らなかったため、無駄に長距離を歩いてしまった苦い経験からの言葉である。
そう、何においても、下調べというのは大切なのである。
「そうだな…後、座席もあらかじめ、ある程度の場所調べておくか?」
「ナイヤかガイヤくらいはなぁ、せめてなぁ…あっ?!」
…と、その時。
チケットをぼんやり見ていた一角鬼、その表情が何故か険しくなる。
「どしたの、兄ちゃん?」
「お、弟達よ…これを見ろ!」
「!」
いぶかる二角鬼と三角鬼に、一角鬼はやや震える手でチケットを示して見せた…
…すると、彼らも気づいた。
そう、その三枚のチケットは、全て…
「これ…」
「三枚とも、全然別の場所じゃねえか?!」
値段もばらばら、よく見れば印刷された場所?も違うらしく、用紙も違う。
何より問題なのは…そのチケットがそれぞれ指示している座席の場所、それが三つともまったく別々だったことだ!
またも発生した兄弟バラバラ事件に、つい苛立たしげな舌打ちを鳴らす一角鬼。
「諜報員の野郎、また適当な仕事しやがって!」
「俺たち三人で行くって言ってるのに、何でそれくらいの配慮ができねえんだか…!」
今度こそ三人揃ってヤキュウ観戦ができると思っていたのに、思わぬトラブルである。
諜報部によって繰り返された過ちに、三人ともがっかりの表情を隠せない。
ふんす、と鼻息荒く立ち上がり、一角鬼は壁際のコンソールに設置された長距離通信機を手にした。
「手配しなおさせてやる!まったく…」
どうやらバチあたりにも、チケットを手配した諜報員にクレームをつけようとしているようだ。
コードを入力し、受話器を耳に当て、しばし待ち…
「ああ、黒影鬼か!お前、このチケットは何なんだよ!」
相手が出たなり、苛立たしげに怒鳴りつける長兄。
まったく迷惑なクレーマーそのものである。
「俺たち三兄弟で行くって言ったろ!何で…」
なおもぷんぷん怒りながら彼は抗議する、が…
「ッ?!」
空中に一瞬、飛び跳ねる兄者。
突如、はじかれたように耳に当てた受話器を引き離す。
思いもよらぬことに、抗議に猛抗議で返された。
電話相手のすさまじい反撃が音波となって、一角鬼の鼓膜を貫いたのだ。
少し離れた場所にいる二角鬼と三角鬼にも、何やら受話器がわめきたてているのが聞こえるぐらいだ…
「?!…あ、ああ、はあ」
目を白黒させながらその攻撃に耐える長兄、先ほどまでの態度はどこへやら。
「そ、そうか…わ、わかった!わかったから…俺が悪かった!無茶を言った俺が悪かった!」
あまりの相手の勢いに、やがて反論する気力すら奪われたのか。
そのうち何とかその場を取り繕うかのように、詫びの言葉を連発しだす。
自ら地雷を踏みぬいてしまった彼、とにかく相手の機嫌を取ろうと必死になっている。
その合間にも、激高してしまった相手はぎゃんぎゃんと怒鳴り続けているようで、受話器から漏れ聞こえる女性の甲高い怒号はまったく止む様子を見せない…
「すまない!謝る!謝るから!…ありがとう!苦労かけてすまない!
じゃ、じゃあまたな!次もよろしく!」
しかしながら何とか会話の継ぎ目を狙い、無理矢理に会話を終わらせた一角鬼。
がちゃん、とばかりに通信機をコンソールにたたきつけ。
「はあ…」
がっくり、と両手をつき、疲労に満ちた深い深いため息を吐くのだった。
「ど、どうしたんだよ、兄ちゃん…」
「い…いや、何でも…ヨコハマスタジアムのホームチーム、『ヨコハマDeNA(ディー・エヌ・エー)ベイスターズ』?
…最近急に人気が出だして、チケットがまともに取れないんだと」
そう、それが諜報員が激怒した理由だった。
人間どもですら手に入れにくいチケットを何とか三枚も用意したというのに、それに何も考えずに文句を言われれば…そりゃあブチキレるのも当然であろう。
「へえ、人気球団なんだ!」
「それで、何とか手を使って集めたのがこのチケットで…文句を言うなら殺す、と言われた」
「…ヤキュウの試合も、なかなか人気なんだな」
改めてヤキュウの人気の高さに舌を巻く三人。
それを考えれば、たとえ席がばらばらであっても、むしろ三人とも同じ日の同じ試合を見に行けることだけで満足すべきなのかもしれない。
「仕方ない弟達よ、今回は三人バラバラになってしまうが…」
「まあ、せっかく取ってもらったんだしね!」
「それで、どうやってどこに行くか決めるんだ?何かこれ、値段も全然違うみたいだぜ?」
二角鬼のもっともな疑問。
当たり前だが、高い席ほどいい席…なのだろう。
それを考えれば、この三枚のチケットをどう配分するか…というのは、なかなかに大事な問題だ。
「ふん…こういう時は、これに決まっているだろう」
軽く鼻で笑い、立ち上がる。
おもむろにデスクに歩み寄った長兄は、紙に何やらペンでさらさらと書付け、二つに折り目を付け、そこで紙を破り…
「ほれ」
「…そだね」
その一片を弟たちに差し出した。
…そこには、三本の線。
そう。
こういう時は、恨みっこなし…
あみだくじで決めるに限る。
長い間の付き合いで起こった多くの兄弟げんかもこれで収めてきた、彼ら納得の決定法である。
二角鬼と三角鬼、三本の線の端にそれぞれ自分の名前を書き、
「よーし、書いたな?じゃあ残りのは俺、っと」
最後にくじを作った一角鬼が自分の名前を書いて、
「じゃあ、兄ちゃん…結果を!」
「よし…!」
あらかじめちぎっておいた、結果の書かれた紙片をそこにくっつける…!


そして、三者三様、彼らの道が決まったのであった。


「うーん、このポスター…超かっこいいじゃん」
「すっごく雰囲気あるよね!」
試合当日。
横浜はJR関内(かんない)駅のホームに降り立った三兄弟は、駅の壁を彩るポスター群に目を奪われた。
やはりスタジアムの最寄り駅だけあって、ベイスターズの選手のポスターで埋め尽くされている。
練習や試合の一瞬を切り取った写真に添えられた短くも鮮烈なコピーが、目に飛び込んでくる。
ベイスターズカラー…鮮やかな青に染められたホームに、たくさんのファンたちが降り立っていく。
さらに、彼らが改札を通り抜けると、そこにも大きなサプライズ。
「わー!見てくれよ兄ちゃん!上!」
「おお…!」
歓喜の声を上げる三角鬼が指差す先、関内駅の入り口には…



大きな大きな、ベイスターズキャップ!
「何か…こういうの、いいな!」
「ああ!」
駅全体でホームチームを盛り上げていく空気に、ご機嫌の三人。
「えーっと、地図によると…本当にここからすぐ近くらしいな」
「まわりの人間ども、みんな青白のユニフォームだな」
次はスタジアムへの移動であるが、それはどうやら悩む必要がなさそうだ。
駅を出て右手方向、徒歩三分もしない間に…それは行く手に現れる。
大きな広い車道、交差点の向こう。
「おっ…」
「…!」
青い縁取りにぱっきりと、"YOKOHAMA STADIUM"の文字がきらめき。
白い巨大な建造物が、来る者を迎え入れる。
多くの人でにぎわう公園の中に、それは悠然と立つ…


「あれが…ヨコハマスタジアム、か」


横浜スタジアム…通称「ハマスタ」。
横浜公園という公園の敷地内にあるという、一風変わった球場である。
花壇や木々に囲まれたそのスタジアムは、今はセントラルリーグ所属・横浜DeNAベイスターズの本拠地である。
存外に待ち時間の長い赤信号が青に変わると、その瞬間に待ちわびたファンたちが早足で横断歩道を渡っていく。
一角鬼たちもそれに倣い、公園に吸い込まれていく…
門をくぐると、そこはたくさんの人、たくさんの出店で活気に満ちあふれていた。
「マリンスタジアムみたいに、周りに屋台がたくさんあるね!」
「ちょうどいい、まだ試合あるまでに時間はある…メシ喰ってくか」
「いっぱいあるな…何にする?」
行きかう客たちも、皆手にうまそうな何かをもって、楽しげに笑いながらそれを食べている…
見渡す光景の中に、いくつもいくつも屋台や出店が映り、彼らを惑わせる。
「!…おい、あれなんてどうだ?」
すると、次兄が何かを見つけたようだ。
示す先には、「青星寮カレー」と
その前で、エプロンを付けたかわいい女の子が客引きをしている。
「…カレー?」
「何か美味そうじゃん」
興味を引かれた三馬鹿兄弟、ふらふらとそちらに近づいていく…
と、それに気づいた女の子がくるり、と向きなおり、極上の笑顔を向けてくる。
「おいしいですよー!ハマスタ名物・青星寮カレーいかがですかー?」
「ふん、それがここの名物なのか?」
「はい!何せ、選手の皆さんが食べてるのと同じカレーですからね!」
「えっ、プロヤキュウ選手と?!」
驚きの声を上げる兄弟たち。
なんと、ヤキュウ選手たちが食べているものと同じものを味わえるとは…!
「そうですー、若いベイスターズの選手が入っている寮の、食堂のレシピで作ったカレーなんですよ!」
「へえ…選手とおそろいなんて、おもしろいねえ」
「よし、それじゃ…3つくれ」
「それにベイスターズ特製ビールもありますよ!」
と、さらに追撃とばかりに、売り子娘が追加のおすすめアイテムを推してくる。
それもまたこのハマスタ名物・球団オリジナル醸造ビールだ。
「あっ、それは1つで」
すかさず指一本で答える長兄。
もちろん、それは彼一人だけの分である。
何故ならば…
「…兄ちゃんばっかりずるくない?それ」
「どうせ、ここ人間どもの街だから、バレないのに…」
背後でむくれる弟たち。
そう、百鬼帝国の成人年齢は…18歳。
この間誕生日を迎え18歳となった一角鬼のみが、酒を飲む資格があるのだった。
確かに二角鬼の言うとおり、ここは帝国からはるか遠く離れた人間たちの街・ヨコハマだ…
しかし、見つからないからと言って、してはいけないことをしていいものか。いやいけない(反語)。
「やかましい、こういうことはきちんとせねば」
自分はしっかり酒を楽しめる長兄は、しれっとそう言ってのけたのだった。
まあ、何はともあれ…幾ばくかの人間界の通貨と引き換えに、彼らはプラコップに注がれたベイスターズエールと、三人分のカレーを入れた袋を手に入れた。
「まあいいや、喰おうぜー」
「あそこに座って喰おうか」
ここハマスタは公園の中にあるだけあって、そこら中が植え込みや花壇でいっぱいである。
三兄弟は周りの人間どもの真似をして、屋台街の端…植え込みの石段に腰かけてそれを食することにした。
ほんのりあったかい白いケースをぱかりと開くと、スパイシーな香りが湯気とともに立ち上る。
スプーンを突っ込み、一気にかっ喰らう。
「おいしいー!」
「うん、辛すぎずいい感じ!」
ちょうどいいくらいの辛味に、舌鼓を打つ。
青空の下で食べる青星寮カレー(さらに一角鬼にはベイスターズエール)は、何だか青春の味がした。



「うーんさわやか!…しかし、なかなかの商売上手だな」
「ねー、なんかオシャレだしねー」
「こういうので人気をゲットするんだな」
球団特製グルメで客を呼び寄せる手腕に納得しながら、カレーをむさぼり喰う三兄弟。
ビールのプラコップに印字されたマーク、パッケージに貼られたラベルなんかもちょっとレトロチックで、何となく洒落た感じがこなれている。
人間たちもいろいろ考えるもんだ…
そんなことを思いつつ、鬼たちは昼食を終えた…
とはいっても、もう一時半前。
試合は二時から始まるのだから、そろそろ球場の中に入っておきたいものだ。
周りの人間たちも、ぞろぞろとゲートに向かっている。
「よし、それじゃ…腹もふくれたし、時間も時間だし」
「入場しますか!」
「じゃあな!お互い、楽しもうぜ!」
「うん!」
「試合後にまた会おうぜ!」
互いに手を振りながら、三兄弟は皆、まったく違う場所へと向かう…
三人の姿はあっという間に人の波に飲まれ、見えなくなってしまった。


こうして、それぞれ横浜スタジアムに散り散りになった角面鬼三兄弟…
まず、次兄・二角鬼。
彼が陣取る場所は…
「…ううっ!この階段、急すぎだろ…?!」
息をぜいはあ言わせながら、また一段、一段と、急勾配な階段を上っていく。
この横浜スタジアムは歴史ある球場らしく、少々作りが古いようだ。
なので、上方にある座席に移動する際は、非常に急な階段を上っていかなければならないので、どなた様も足元にはご注意である。
彼の座席は、一塁側内野指定席B。かなり高い場所にある席だ。
「ここか…?」
だから、そこまで登ってしまえば、そこから見える風景は…
「…!」
思わず息を呑んでしまうほどに、壮大だ。
グラウンドを睥睨するのみならず、ヨコハマの街の風景がそこから見える…
「まあ、グラウンドは遠いけど…見晴らしいいじゃん!」
納得した二角鬼が席に腰を下ろしビジョンを見下ろせば、そこではちょうど今日の試合のスターティング(先発)メンバーが紹介されている。
ホームチーム・ベイスターズの選手がひとり紹介される度、ビジョンの右隣のエリア…ライトスタンドから、ベイスターズ応援団の歌声。
応援旗がはためくその人の波の中、そのうちに…人間は知る由もないが、鬼が一人、混じっているはずだ。
「…一角鬼兄ちゃんはあの辺かな?」





ちなみに長兄・一角鬼、彼は…
「…かーっとばせー!クーラモットーーー!」
まさにライトスタンド中央、ホーム外野指定席にて、多くのベイスターズファンに囲まれ声を張り上げていた。
周りのファンたちの放つ熱気が、白と青の波となってうねっている…
ヤキュウ観戦、まさかの連続での外野席。
しかしながら、前回の経験を踏まえ、今度は前もってベイスターズの応援歌を覚えてきたのである。
百鬼百人衆・一角鬼、身体はごついし脳筋気味ではあるが、過去から学べる男なのである。
そう、だから、彼は迷わずついていける…
スターティングメンバー発表後行われる応援歌の流れにも!
9番打者・クラモトトシヒコへのコールの後、太鼓が三回鳴らされると―


tan-tan-tan!

tan-tan-tan!
"Oi!"
tan-tan-tan!
"Oi!"
tan-tan-tan-tan!

"A-le-x Ra-mi-re-z!!"

彼らが呼ぶのは、ベイスターズ指揮官の名。
そして―

tan-tan-tan!
"Oi!"
tan-tan-tan!
"Oi!"

tan-tan-tan-tan-tan!

突然の転調、切なさとポップさが入り混じったメロディーに!

"Oi!Oi!OiOiOi!"

勇気という名の 白いボールを胸に
夢を追いかける どんな時も
横浜Baystars! 全てを賭けて 走り出せ
横浜Baystars! 時代の風を背に受けて
信じているよ 熱い気持ちで!
掴むのさ…Your winning ball!!

「そーれ!」


そして最後は…三・三・七拍子!
最初から最後までばっちりと人間たちの応援についていくことができた一角鬼、会心の笑みである。
練習の甲斐があったというものである…
やり遂げた感でいっぱいの彼の視線が、ふと遠くに跳ねる…
―グラウンドを縁取るスタンド、選手たちが駆ける戦場から最も近い場所にあるエリアへ。
そこは、この横浜スタジアムの中でも、かなり単価が高い席なのだ…
(三角鬼はあそこか…すっげえ席だな!)


そう、末弟・三角鬼がいるのが…
「うわあ…」
一塁側(BAY SIDE)エキサイティング・シート。
スタンドからグラウンド側にぴょっこりとはみ出した、最も選手たちに近い位置にある座席である。
しかも、三角鬼の持つチケットが示す座席は…その中でも、一番前。
目の前に、胸くらいの高さの壁。
だが、それだけだ。
その向こう側には…緑の光景。
人工芝が鮮やかに艶めき、そして茶色の内野がその中にある。
選手たちが疾走るグラウンド、彼らと同じ視点の中に…今、自分も、いる。
「…」
思わず、胸に手を当ててみた。
どくどく、どくどく、と…心臓が、早鐘を打つのが、手のひらから感じる。
心が沸き立たずにはいられない。
壁が隔てていようとも、自分は、今…ヤキュウ選手たちと、同じ地面に立っているのだ。
それに、シート自体もとても立派なものだった。
大きくて背もたれもしっかりしていて、ドリンクホルダーもあって。
これは気持ちよく観戦が楽しめそうだ。
その上…
(グローブと…ヘルメット?)
シートの上に、ビニールに包まれたグラブ、そしてヘルメットが置かれている。
壁に貼られた注意書きによれば、どうやらこのシートではこれらを身に着けていなくてはならないようだ。
やはりグラウンドに近いだけあって、ボールが飛んできたりなどの危険性も高いのだろう。
「…へへ」
おもむろに、三角鬼はビニール袋を破り。
グラブをはめ、ヘルメットをかぶってみる。
すると、自然に笑みがこぼれてきた。
「ねえ」
何だか、とっても不思議だ。
ヤキュウ選手たちとまったく同じ目線の世界に立てる、そんな席があるなんて思わなかった。
遠くに目をやれば、ベンチが見える…
向かいには、相手チーム・ヨミウリジャイアンツ。
「…ねえ、ちょっと!」
そして、自分たちの左側…そこには、白地に細い青縞の入ったユニフォームを着た大柄で屈強な男たち。
バットを手に素振りをしたり、キャッチボールをしていたり、ベンチで作戦を練っていたり…
ヨコハマDeNAベイスターズの選手たち!
圧倒的に近い距離、彼らの話し声さえかすかに聞こえてくる…
一体何を話しているんだろう?もっと耳をすませば、詳しく聞けるかな…?
三角鬼はついつい身を乗り出し、選手たちのほうに耳を傾けた…
「ねーってば!!」
「?!」
が、途端!
ぐわん、とばかりに、強烈に鳴り響いた。
三角鬼の鼓膜は、いきなりの大声でびりびりと震える。
突然のことに文字通り飛び上がる、
ぱっ、と、彼が大声のほうに振り向くと、そこには…!

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