百鬼帝国のエリート集団・「百鬼百人衆」。
彼らはそれぞれ「○○鬼」と呼ばれているが、
私はこれをある意味での「継承していくタイトル」だと考えている。
つまり、歌舞伎や能のように、名人の名前を「タイトル」として受け継いでいく…というタイプであり、決して彼らの本名ではない…というのが私の考えだ。
(私の自作ゲッター小説のなかで使っている設定でもある)
なぜかというと、ゲッターロボGの中でも有名な話、第8話「夜空に輝く二つ星」があるからである。
母親の「白骨鬼」が、娘の「リサ」に七夕に会うのを楽しみにしている。
だが、それはかなわぬ夢になってしまい、彼女自身もゲッターチームに滅ぼされる…という話。
で、ここだが、娘は「リサ」であり、「○○鬼」ではない。
また、この話で、リサを反逆者扱いとした学校の教官の名前は「鬼丸」。
この二人の登場人物を見ても、鬼の帝国百鬼帝国とはいえ、誰もが「○○鬼」ではないことがわかる。
それを考えると、この「○○鬼」もなんだか趣深い。
例えば、「白髪鬼」なら、これは老齢の戦士に与えられるのかな?とか、
「牛剣鬼」なら、やっぱり剣の達人向けなんだろうな…とか。
個人的には、ヒドラーさんは何かの「○○鬼」を経由してるんじゃないかな?とか思ったりもしますんで(いきなり総帥みたいなリーダー格にはなれないでしょうしね)、
そのころの話とかをねつ造ショートストーリーにしてみたいな、なんて思っています(*^◯^*)
執務室。
立派な椅子に坐している壮年の男、その憂いの色は深く。
広々とした机に肘をつき、ぐったりと頭を抱えている。
憂えている。
これからの騒乱を、思うあまり。
だが、いつまでも逃げてはいられない…
ああ、あの扉の向こう、すでに奴らは群れをなしているはずだ。
逃げ場などない、ここは袋小路。
そして、12月の今日は…自らが立ち向かわねばならない、正念場。
男は、やがて。
扉前で侍る部下に命じた。陰鬱な声で。
「…奴らを、入れろ」
「はっ…」
彼は慇懃にうなずき、いったんの間をおいて。
意を決した表情で、ドアノブに手をかける―
ばたん!
扉のあげた悲鳴は、試合開始のゴング。
壮年の男は顔を上げ、きっ、と唇を結ぶ…
気合を込めて!
「貴様らあッ!一列に並べ、一列にいいいッ!」
「だいたい!女戦士たちの教育にも携わっている私が、何故この金額か?!
自雷鬼などを見ろ!一族の誇りとか言いながら、ろくに動きもせず遊びほうけているにもかかわらず、何故私と同額なんだ?!」
「そ、それはだな…」
すさまじい勢いで叩きつけられる胡蝶鬼の文句に、ヒドラー元帥は思わず身を引いてしまう。
「何というかだな、その、人材育成に関わる分は同額の査定を…」
「ふ・に・お・ち・なあああああいッ!!」
「ひ、ひいっ?!」
元帥の言葉に、机をばんばん叩き猛抗議の胡蝶鬼…まさに鬼女である。
ヒドラーはもう泣きそうであるが、涙声で何とか懐柔に出る。
机の引き出しから何やら白い封筒を取り出し、示すことには…
「わ、わかった!そ、それでは…中央駅前百貨店の商品券!これを3万ブライ分!」
(注:百鬼帝国のお金の単位は「ブライ」。だいたい1ブライ=1円)
「少ないッッ!」
「そそそ、それではさらに1万ッ!」
そこまでの追加を見て、胡蝶機の整った眉がぴくり、と動く。
「…ふん、初めからそうしていればよかったのだ!ではな!」
すぐさまにその封筒をヒドラーの手からもぎ取り、胡蝶鬼は踵を返し。
足音も高く去っていくその後ろ姿に、ヒドラーはやっと呼吸する安堵を思い出した…
しかし。
彼に安息など、許されるはずもない。
何故なら…
「じゃあ、次はワシですな!」
「あ、ああ、大輪鬼…」
「ちょっとねえ…昨年度よりの減額と言うのはね!ワシは納得がいかんのですよ!」
ずい、と前に出てきた、恰幅もよい大男は大輪鬼。
その口から流れ出る文句に、ヒドラーは疲労の色を隠すこともできず、ため息をついた…
時は12月。
この鬼の国たる百鬼帝国では、畏れ多くも慈悲深いブライ大帝様の温情により、
エリート集団百鬼百人衆には「特別報奨金(ボーナス)」が出されるのだ。
皆、このボーナスをたのしみにして、年の暮を待ちわびているのだ。
しかしながら、この報奨金はいかなる基準で算出されるのか?
偉大ながら鷹揚であられるブライ大帝は、金勘定などしはしない。
すなわち、彼の第一の部下たる男にそれを任せている…
そう、ヒドラー元帥である!
今日はその特別報奨金の支給日。
彼らが、自分の得たボーナスの金額を知る日。
そして…
その評価に不満だった者が、一挙にヒドラーの執務室に押し寄せる日。
すなわち…怒りの訊問タイムだ!
「えっく、ひっく、ぼ、ぼく…一生懸命やってますぅ…!」
「わかっておる!わかっておるぞ地虫鬼、だが子どもがそんな大金を…」
「…びえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん!!」
「ひぐうッ?!」
「俺の報奨金の金額。これがどのようなルールで出したのかをはっきりさせてもらおう」
「あのな、鉄甲鬼。去年も説明したとおり…」
「ヒドラー元帥ッ!俺はそれが正しいと思えない限り、納得は出来んッ!
さあ、何故俺の報奨金が48万5800ブライなのか、説明してもらうぞッ!
お前も元帥と言うなら、正々堂々と釈明できるはずだッ!」
「…。」
「あと5万ブライは欲しい!ここは譲れない!」
「暗黒鬼、確かにお前の作戦はよかったのだが、その…」
「はぁ?!そんな口先だけでごまかされませんよ!さぁ、ここは認めてもらわねば!」
「ひいっ…」
陳情は、まだまだ続く。
でも、ボーナスはとっても大事…
ゲッターを倒す、世界征服する、でもその高い志だけじゃ、ずっと頑張り続けてられないから。
たまにはこんなゴホウビもないと、やりきれないから…
百鬼百人衆が力いっぱい来年も働けるための、そう、これは大事なエナジーチャージ。
みんなが必死なのも、当然だ…
だから、
がんばれ!ヒドラー元帥!
陳情の待ち人数は、あと68人だ!
追記:
ヒドラー元帥の特別報奨金は87万4000ブライでした☆
(部下がひがむので、毎年据え置きで昇給はしません)
ヒドラー元帥「…(涙)」
脱稿しました!!
キタ━━(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)━━!!
いつもお願いしているコミックモールさんに…
いやあ、ここ半年ほどほとんどゲッターのSS書いてなかったので、
3週間禁Twitterしてがんばりました!
やっぱり、ちゃんとできるとうれしいな…( ;∀;)!
もちろん、40年も前の作品だし、
コミケでもひとけたくらいしか頒布できないんだけど、
それでも、私は70年代のTVアニメ版ゲッターロボが好きだし、
もっともっとお話を書きたいから!
12/29(日) 東地区 "ホ" ブロック 27b
新刊「ゲッターお話シリーズvol.2 天下無双!ゲッターチーム」…出ます\(^o^)/!!
余談:
抽選のないスーパーコミックシティとかももっと行こうかな?
もし、ゲッターロボのオンリーイベントとかがあれば、是非参加したいです!
冬コミに出す小説を書いてますー
〆切まであと2週間ちょいだけど、はやめにあげなくては(;´Д`)
今回は「フラウゆどうふのゲッターお話シリーズno.2 天下無双!ゲッターチーム」という本を出す予定なのですが、
このなかで対決!ゲッターロボ対無敵ロボトライダーG7という連載をやってます
トライダーG7のワッ太と、ハヤトを交流させたいな、と思ってまして…
ただ、この本はあくまでゲッターロボ主体ですから、
トライダーをあんまりご存じない方も多いかも、と思い、どうしてもトライダーについて説明的な文章が多くなってしまいますね(;´Д`)
いろいろ工夫したいところ。
ハヤトを主人公にして話を書くのは久々なので、がんばります!