マジンガーの悪役、ドクター・ヘルの配下…
あしゅら男爵、ブロッケン伯爵、ピグマン子爵の中で(ゴーゴン大公はあくまで協力者)、ピグマンさんが圧倒的に知名度が低いのは仕方ない。だって4話しか出てないんだもん。
というわけで、たいていの人の頭の中では、
「ドクター・ヘルの部下は男女まっぷたつと首ちょんぱ」というイメージが強烈にあると思う。おそらく。
この、お互い強烈に仲が悪く、そして掛け合いが漫才かお前らといわんばかりのしょっぱいおかしみ(笑)をかもし出す、地獄城の幹部二人。
ぶっちゃけあしゅらとブロッケンを競わせて効果を高めようとしていたらしいヘルのじいちゃんのもくろみ、むしろ逆効果炸裂。
てか、あしゅらとブロッケンが仲良く協力作戦を展開しまくってたら、光子力研究所壊滅は結構簡単にできた気がする…
ブロッケン伯爵のイメージが一気に変わる物語を、昔アンソロジーコミックで読んだ。
「スーパーロボットコミック(マジンガーZ編)」より、小林真文先生の「雪山の一夜」。
撃墜された機械獣を破棄し雪山にたった一人となった伯爵が出会った女、そして不可思議な村…
読んだ時すごいショックで、何度も何度もそれを読み返したのを覚えている。
何故、それがショックだったか。
それは、「悪役にも彼らなりの矜持と望みが在る」ということを、実感したからだ。
そこからだ。
私のブロッケン伯爵と言う人物への見方が変わったのは。
彼は、もとは軍人だったという。
それでは戦場で吹き飛んで死ぬまで、彼はどんな男だったのか?
家族は、友は、恋人は?
それらを全て失い、自分の「人間」としての形すら失って、出来損ないの機械人形となって、狂える科学者の操り人形となって動く―
彼は、一体何を見ていたのか?
あしゅらというライバルが死に、ピグマンの裏切りを見、
ゴーゴンの干渉に苛立ち、ヘルをそれでも最後まで見捨てなかった、
ブロッケン伯爵は、何を見ていたのか?
いや、彼は何も見ていなかったのではないか。
全てに絶望した彼は、何も見ていなかったのではないか…
そうして、ただ、破滅へ向かっていったのではないか…?
そんなことを考えながら、ショートストーリーとか書いてます。
あ、ちなみに桜多版では伯爵は最後にヘル様見捨ててますけど(笑)