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◆ 誘拐狂詩曲(Kidnap Rhapsody) ~fine/epilogue~
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それから、盛夏の日々は過ぎ…やがて、月が変わる日も過ぎた。
元気も、多少の宿題に悩まされたものの…何とか課題を片付け、また学校生活を送り始めた。
そして、それから二週間ほどすると、教師に提出した宿題が採点されて戻ってくるようになる。
そのうちの一つ、「自由作文」…元気の書いたそれをもしゲッターチームの面々が見たら、きっと一発で卒倒してしまったことだろう。
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夏休みのできごと
4年1組 早乙女元気
8月の18日、ぼくとエルレーンのおねえちゃんは、悪いひとたちにゆうかい
されてしまいました。気がつくと、ぼくはでっかい飛行機のなかにいました。
そこでぼくたちは、首がからだからはなれているのに生きているブロッケンはく
しゃくという人や、からだの右半分が女の人で、左半分が男の人というあしゅら
だんしゃくという人に会いました。
あしゅらさんは、ぼくたちを人質にして、悪いことをしようとたくらんでいたの
です。だから、僕は最初、どうしたらいいのかってほんとうにこわかったです。
でも、心配することはありませんでした。
あしゅらさんたちを最初見たときは、まるでばけものだと思ったけれど、だけど、
二人とも本当はとてもやさしい人でした。
ブロッケンさんは、かっこよくって、ちゃんとぼくたちと話をしてくれて、すご
く男らしい人です。あしゅらさんも、なんだかあったかいかんじがする人です。
あしゅらさんも、ブロッケンさんも、その部下の鉄かめんさんたちも鉄じゅうじ
さんたちも、みんなみんなぼくたちにやさしくしてくれたんです。
そうしたら、そこにもっと悪いやつらがおそってきました。地球の人間をみんな
支配しようとしている、百鬼帝国のきょ大なロボットたちです。
ぼくのお父さんが戦っている悪いやつらだったので、ぼくはブロッケンさんあしゅ
らさんと、それからエルレーンのおねえちゃんといっしょに戦いました。相手は
とても強くて、とちゅうでまけそうになったけど、がんばって勝ちました。
そのあとはあしゅらさんたちのせんかんでおとまりして、次の日に家の近くまで
おくってもらいました。
もしかしたらもう会えないかもしれないけれど、またブロッケンさんやあしゅら
さんたちに会いたいです。
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これに目を通した担任の教師は…
どうやら、この奇想天外すぎる物語を「創作」ととってしまったらしく、こんなピントの外れたコメントが朱書きで添えられていただけだった。
…「たいへんよくできました」の、かわいらしいウサギさんスタンプとともに。
「とってもおもしろいお話ですね。元気くんはせいぎのみかたなんだね!
すてきな友達がたくさんできてよかったね。
でも、元気くんはこどもなんだからあんまりあぶないことはしちゃいけないよ!」