リョウ「恐竜王女とやら!ミユキさんの仇、討たせてもらうぜ!」
リョウの言葉に、自分にゲッタートマホークを向けんとするリョウの言葉に、
恐竜王女ゴーラは、泣いている。
ゴーラ(ありがとう、リョウさん…私のために、それほどまで…
ミユキは…「ミユキ」は悔いなく死んで行けるわ…)
メカザウルス・ギンを向かわせたのは、娘に死んでほしくない父の思い。
だが、そのギンの攻撃を身をもって受けたのは、そのゴーラ自身だった。
「ゴールお父様、お父様を裏切ったゴーラを許して…
早乙女のお父様、お父様を裏切ったミユキを許して…」
これは、私がゲッターロボの物語の中で聞いた、もっとも悲痛なセリフだ。
そこに至って、早乙女博士はようやくそれが「娘」であったことを知る。
「娘」は敵種族の一員で、
おそらく(そのとおりなのだが)ゲッタークイーンの設計図を盗み出したスパイで、
そしてメカザウルスからの攻撃からゲッターチームをかばい、
今、まさに、目の前で…死んでいく。
恐竜帝国も人間たちも裏切れなかったために、自分を滅ぼして。
帝王ゴールにとっても、その絶望は重い。
娘は敵にも心を通わせ、自分たち恐竜を「裏切る」だけならまだしも、
自分たちに刃を向けることもできず、
「自殺」という形で、自分が消える選択肢を選んだ。
むしろ攻撃を加えてきた方が、彼自身ゴーラを裏切り者と割り切れてよかったかもしれない。
だが、ミユキはそうしなかった。
人間と、ハ虫人。
その両方の心を持ち、
その架け橋になりえたかもしれない存在である、恐竜王女ゴーラ…早乙女ミユキ。
けれども、彼女は、そのどちらにもやさしすぎて、
結局は、自分を消すことでその葛藤を終わらせた。
ギンに体当たり特攻を喰らわせる寸前に、彼女がつぶやいた言葉。
それは、早乙女博士のこと?それとも帝王ゴールのこと?
それとも、その両方なのか…?
「さよなら、『お父様』…!」
「人間と恐竜が殺しあうのはやめて…
同じイキモノ同士が、殺しあうのはやめて…!」
彼女の悲痛な、最後の言葉。
けれども、もう、それは早乙女博士にも帝王ゴールにも届かない。
「娘」を失ってしまった彼らには、退くことは最早できなくなったのだ。
スパロボAで、彼女は選択肢によっては生き残る。
それは、喜ばしいことだけれども、ある意味では、哀しい。
「帝王ゴールを完全に裏切った」ということになるから。
どちらも愛し、どちらも捨てきれず、どちらをも裏切った。
それこそが、この「悲劇のゲッターQ」を名作足らしめている要素だと、私は思っているので…